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十文字学園女子大学スペシャルコンテンツ

佐々木則夫副学長インタビュー 夢を力に歩む

2011年のサッカー女子ワールドカップで、なでしこジャパンを初優勝に導き、現在、日本サッカー協会の女子委員長として競技力向上に力を注ぐ佐々木則夫先生。2016年から本学の副学長として学生の指導に当たる佐々木先生に、授業で大切にしていることやこれまでの生い立ち、今後の展望などについてさまざまなお話を聞きしました。

目次

第1回
サッカーのノウハウで自ら考え行動する女性を育む
第2回
山形から東京へ 伸び伸び育った子ども時代
第3回
サッカーを続けながら学生生活を謳歌
第4回
どんな場所でも「学ぶ」意識を大切に!
第4回

どんな場所でも「学ぶ」意識を大切に!

――佐々木先生が大切にしている言葉について教えていただけますか?

一つは、「歩歩是道場(ほほこれどうじょう)」という言葉です。高校時代、サッカー部のキャプテンをやっていましたが、練習で疲れた私がおふくろにグダグダ愚痴を言っていたのを親父が見て、サッカー部でキャプテン面していても、うちでは人間として全然成長していないと思っていたのでしょうね。その後、たまたま親父の仕事の手伝いをしたときに、「お前、気が利かねえな。それでよくキャプテンやってるな」と言われたんです。私が何のことか分からず、きょとんとしていたら、「あそこにゴミが落ちてるけど、お前はほとんど素通りしている。気付いてちゃんと拾わないと。ゴミがお前を成長させるんだよ」と言われました。そして「どんなところにも成長は転がっているから、どこにいても、何をしていても学ぼうという姿勢で臨まなければ、心は成長できない」と。そのときは、キャプテンとして大変なこともたくさんあるし、まだ子どもなのだから、許してよという思いもありましたが、確かにそうだなと納得しました。

その後、大学生になってふと、「歩歩是道場」という言葉を見つけました。どんな意味かを調べてみたら、禅の言葉で「私たちの周囲はほぼすべてが学びの場である」という意味。親父が前に言った話と同じことを言っている言葉だと気付いたんです。人間ってつい、専門的な学びの場じゃないととか、環境が整わないととか、学べない言い訳を作ってしまいがちですが、学びって、いろんなところに転がっているんですよね。高校生のときに親父が言ってくれたことがよみがえって、これはやっぱり私には大事な言葉なんだなと改めて感じたわけです。それ以来、座右の銘にしています。

――素敵なエピソードですね。この言葉は、その後の佐々木先生の人生にどんな影響を及ぼしていますか?

その言葉を知ってからですね。YMCAなどでボランティア活動をするなど、自分からアクションを起こすようになったのは。サッカーをするときだけではなく、そのほかの場面でもいろいろなところで学べると考えるようになりました。大学時代には飲食店でアルバイトをしましたが、ここでも何か学ぼうという姿勢で働いたら、大勢のアルバイトのなかでチーフになりました。サッカーの練習の場だけでなく、違う分野でもたくさんのことが学べるのだなと実感しました。

今、新型コロナの影響で学ぶ機会が減ったと感じるかもしれませんが、実は工夫すればいくらでも学べる機会を作ることができると思います。大学でも、対面の授業の機会が減るなど、制限がありましたが、意識があれば、自学でも何でもいろんなことを学べるはずです。コロナのように予期しない事態が起こっても、「歩歩是道場」の精神を持てば、学びの幅は制限されないと感じています。

好き、そして楽しむ領域にまで高める

――論語の一節にある「知?好?楽」という言葉についても、よく講演などでお話されていますね。

この言葉は、知識を持っていることは素晴らしいことだけど、好きだと思ってやっている人にはかなわない、さらに好きでやっている人も、楽しんでやっている人にはかなわないという意味です。知識があるというだけで満足しないで、それを楽しめるだけのものにすることが大事。好きになるだけじゃなくて本当に楽しめるようになって自然体になったら、これはもう本物になるということですね。そうなれば長く続けられます。私にとって、サッカーがまさにそれだと思います。。

――このコラムのタイトルにもなっている「夢を力に」という言葉も、佐々木先生が大切にされている言葉ですよね。

はい。夢自体は無形のものですが、無形の思いがなかったら、有形にはなりません。だからその無形の思いがパワーになって、最終的に結果に結びつく。

学生の皆さんのなかには、夢が見つからない人もいるかもしれませんが、焦る必要はありません。夢というのは、自然体のなかからだんだん興味があるものが出てきて、その興味の先に、どんな仕事や学びがあるかが見えてくると思います。今、夢や目標が見つからなくてどうしよう???と感じて右往左往していても、それは何かを見つけようとしているという証拠。焦る必要はありません。もし、学生時代に自分のやりたいことや夢を見つけられなくても、社会に出て見つけられることもありますし、見つけたと思ってやってみたら、それが嫌いになったとか、向いていないと感じたということも誰しもあることです。

だから、大それたことを決めようなんて思わなくていい。私のサッカーの人生だって大それて決めたわけではありません。流れの中でここまで来たというのが実情です。「夢」とか「目標」ということを意識するほど絞りづらくなるので、何か興味の糸口をつかんだら、そのことについて調べてみてください。あ、こんな人がいるんだ、私も目指したいという思いが出てくるはずです。そこはもう追々取り組めばいい。導かれるままに進むなかで、夢や目標が生まれるということもあります。美空ひばりさんの歌ではありませんが、「川の流れのように」というくらいの考え方でいいと思いますよ。

女子サッカーの発展に向けて挑戦は続く

――佐々木先生独自の言葉で、「成功の反対はチャレンジしないこと」という言葉も大切にされていますね。

みんな何かにチャレンジするときには、成功したいと思うのは当然だと思います。でも、失敗したらどうしよう???と悩んでしまうと一歩が踏み出せなくなってしまいます。それはもったいないので、とにかく挑戦してみてください。挑戦して例え失敗しても、そこから多くの学びが得られるはずです。もし何もしなければ、何も始まりません。だからこそ、成功の反対は失敗ではなく、チャレンジしないことだと考えています。

――その言葉通り、佐々木先生ご自身も精力的に活動されていると思います。最近の佐々木先生の活動についてもお話いただけますか?

「成功の反対はチャレンジしないこと」につながりますが、私自身、何かを始めることが好きで、いろいろなことに挑戦しています。望まれると「ノー」と言えない性格もありますし、女子サッカー界に貢献したいという思いもあって、2021年には、日本サッカー協会の女子委員長を引き受けました。今、日本サッカー協会の女子サッカーの選手登録数はおよそ5万500人(2021年度)。男子のサッカー人口のわずか6%ほどと少ないのが現状です。日本サッカー協会では、女子の割合を10%に引き上げることを目標にしていて、私も女子委員長として各県のサッカー協会の関係者と今後の対策などについて話し合うなどして、競技者人口を増やすことや、女子サッカーの競技力向上に貢献したいと頑張っているところです。

挑戦するという意味では、女子サッカーのプロリーグであるWEリーグもそうですね。立ち上げるところから関わっていますが、コロナ禍でのスタートとなったため、本当に大変なことだらけで。でも、逆に考えれば、ここから成長していくしかないと思うので、前を向いて進むのみ!と思っています。

その日本の女子サッカーを代表するなでしこジャパンは、2023年、オーストラリア?ニュージーランドで開催されるワールドカップの出場権も獲得しました。その後すぐ、パリ五輪の予選もあります。アジアで2枠しかないので、そこも大変な戦いになりますが、サッカーを愛する少女のためにも、私も女子サッカーの発展に貢献できるよう、全力で頑張ります!

――ありがとうございました。またいろいろなお話をお伺いしたいと思います。

はい、ぜひよろしくおねがいします。

2022.11.11

PROFILE

佐々木則夫(ささき?のりお)先生プロフィール

1958年山形県生まれ。帝京高校、明治大学とサッカー部で活躍。大学卒業後はNTT関東(大宮アルディージャの前身)で社員として働きながらプレーし、日本リーグ2部昇格を果たす。33歳で現役引退後、大宮アルディージャの初代監督などを経て、2007年に日本女子代表の監督に就任。男女通じてアジア初のワールドカップ優勝、ロンドン五輪銀メダルなどの戦績を残した。退任後、準備室長として日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」の設立に尽力するなど、女子サッカーの発展に貢献し続けている。