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教育?学生生活

2021年11月


子育て講演会 「はらっぱ」におじゃましました2021! part3!

2021年11月24日(水)に真人网娱乐平台_888真人娱乐网址@3年度 第3回 子育て講座「はらっぱ」が十文字女子大附属幼稚園で開催されました。
今年で14年目になる子育て講座「はらっぱ」は、十文字学園女子大学と十文字女子大附属幼稚園の共同開催となっており、附属幼稚園に大学から先生をお迎えして、附属幼稚園の保護者の方や地域の皆さんを対象に専門家のお話を聞ける講座となっております。参加費は無料。現地参加とオンラインの同時開催です!

テーマ:バイリンガル教育~海外の事例から見えること~

【講義概要】2019年度サバティカル研修で1年間カナダ?オンタリオ州に滞在し、カナダの幼児教育やバイリンガル教育について研究してきました。カナダは英仏2言語が国の公用語であり、州によって幼児教育の開始年齢も異なります。カナダの英語圏の子どもが幼児期からフランス語のみで活動しているフレンチイマージョン幼稚園?学校や、その他の幼稚園?小学校でフランス語を学ぶ様子を紹介し、早期からのバイリンガル教育について考えます。またオンタリオ州の幼稚園や保育園での保育をご紹介したいと思います。
【略歴】お茶の水女子大学大学院人間文化研究科修了 博士(人文科学) 幼児期の「考える力」の発達を研究の中心テーマとしながら、ベネッセ「こどもちゃれんじ」のモニター調査?教材監修、「あつまれ!アマゾンキッズ しまじろうとあそぼう!」の監修、NHK幼児番組コンテンツ調査協力等を行っています。

十文字学園女子大学 幼児教育学科 教授 大宮 明子 先生

 「英語はいつから勉強すればいいの?」という、子育てをしている方はとても興味がある内容などを、大宮先生が行かれたカナダでの研究結果から、理論などを交え、お話をお聞きしました。
大宮先生はイマージョン教育の先進国であるカナダに、大学のサバティカル研修で1年行かれました。イマージョン教育とは、その外国語の科目だけでなく、他の教科もその外国語で学ぶ外国語学習方法のことだそうです。
カナダでは40年以上前にフレンチイマージョン教育(フランス語圏で英語を第一言語とする子どもがフランス語を学ぶ)が始まり、外国語を母語に近い程度まで学ぶ効率的な方法として注目されています。

いろいろな視点から、外国語を習得するために大切なことなどをお聞きしました。その中から印象に残った内容をお伝えしたいと思います。

カナダでのフレンチイマージョン教育の状況

 フランス語が母語でない子どもが、フランス語を日常的に使っている子どもたちの中に入ると、遊びの場面や買い物では問題なく、それを見た親もフランス語は大丈夫だと思ってしまうが、学校現場で必要とされる、教科書を読んだり、レポートを書いたり、プレゼンテーションをしたりなどのスキルを身につけるにはかなり苦労している。
*「認知的アカデミックスキル(Cummins、1981)」の習得には、5~7年要する。
また、フランス語を早く習得するには、家でも学校でもフランス語漬けになるのが、早道だと考えるが、「家庭では母語で話すことが大切」とカナダのオンタリオ州教育省は強く呼びかけている。母語をサポートしながらフランス語を学ぶには、子どもが親に情緒的な事を伝え、親の文化を受け継ぐ母語が大切である。

年齢が進むにつれ、フレンチイマージョン教育を受ける学生が少なくなる理由として、下記のことがあげられる。
?大学を受験するのに、受験するための勉強に力を入れるため、フランス語の勉強は後回しになる
?英語の求人に比べ、フランス語が必要な求人が1/10程度になるなど

イマージョン学校ではなく、普段の授業では英語を使い、高校1年生まで必修科目としてフランス語を履修していた大学生に話を聞いたところ、食品のパッケージなどフランス語で書かれたものは、おおよそなにが書いてあるか理解できるが、英語と同じようなコミュニケーションは難しいそうだ。

オンタリオ州ロンドン市にあるKフレンチイマージョン幼稚園の様子を紹介

治安の良い日本とは違い、園庭など外に出ることが自由ではない。
普段どのように子どもたちがフランス語を覚えているか、カナダの保育の様子を写真などで紹介。

フレンチイマージョン学校の生徒在籍率

 大宮先生が調べた資料によると、幼稚園の時にはフレンチイマージョン教育を選択する家庭が8割前後いるのに対し、高校卒業時には3割にまで低下している。フレンチイマージョン教育から離れる一つの原因は、親が子どもの英語の遅れを気にして、通常の英語を使う学校へ転校することである。

外国語は早くから学んだほうがよい?

 印象に残ったのは、子どもは「簡単に」ことばを学んでいるか?について。いつの間にか、子どもは言葉を話しているという印象だが、言葉を話すためには、とても長い道のりがある。どのように口を動かせば発音できるのか。どこで単語を区切ればいいのか。いろいろなことを耳で聞きながら学んでいる。最初は単語だけ、次に単語と単語、つぎに単語に助詞が入り、意味のわかる言葉を話せるようになる。やり取りができるようになるには最低でも単一言語で6年ぐらいはかかるといわれている。それでも、学校で通用できるレベルになると、もっと時間がかかる。いろいろな要素が組み合わさって、やっと言葉として成立していて、「簡単に」というわけではない。

母語からの転移と外国語の習得

 外国語を習得するためには、「①接触の機会が十分にあること」。これは親が環境を整えてあげれば、作れなくもないが、難しいのは、「②学習動機が十分にあること」。将来役に立つからという、親の曖昧な動機ではなく、子どもが外国語を使って意思疎通をできるようになりたいという気持ちが大切。外国語を習得することを勉強だと思ってはいけない。

ことばは、自分の気持ちや考えを周りの人に伝える道具である。自分がやりたいことなどを周りにきちんと伝えられることが、情緒の安定にもつながる。元になるのは、母語で培った、ベースの部分である。幼児期には耳で聞いて、読み書きへの興味を作ることが、外国語に興味を持つことにつながる

「幼児期のダブルリミテッド」について

 幼児期に無理やり第一言語以外の言葉を入れたことによって、第一言語もマスターできなくなっている状態のことをいう。どちらの言葉でも、自分の言いたいことが相手に伝えられない、相手の言っていることがわからない。元の言語環境に戻してあげると解消されやすいが、小学校高学年になっても解消されない子もいる。そうなると学校の勉強についていくのが難しい。どちらの言語でも自分の気持ちを伝えられなくなると、ストレスを抱えてしまい、不安定になってしまう。

最後に

 英語を使って、いろいろな人とコミュニケーションを取りたいと思う気持ちを幼児期から育ててあげる。英語が勉強になり、「もう英語の勉強したくない!」ということにならないように、家庭で相談できると良い。

今回の講演に関する紀要論文がインターネットでご覧いただけます。
大宮明子(2020) カナダにおけるバイリンガル教育の現状に関する一考察.十文字学園女子大学紀要,51,119-131.

取材を終えて

英語を学ぶということについて、いろいろな角度から考える良い機会をいただきました。
子どもが英語を学ぶには、本人の学習動機が大切であるとのこと。
幼児期に英語の環境に浸れば、英語が喋れるようになり、それが早ければネイティブな発音に近づくと私は考えていましたが、「ことば」というのはコミュニケーションの道具に過ぎず、まずは自分の気持ちを表現できるベースになる部分を育てることが大切である。前回の伊集院先生の講演でお聞きした、「根を育てる生活」の大切さにもつながる講演内容でした。